インタビュー 公開日:2011年2月7日(月)
根本幸治 part1
【略歴】
根本幸治
1990年同志社大学経済学部を卒業し、大手資産運用会社にてファンドマネージャーを勤める。2001年より各種自己研鑽セミナーを100回以上受講しながら、コーチング、スポーツメンタル、NLPの民間資格を取得。現在、モチベーション・プロデューサーとして脳の仕組みを説明する講演会や体験型セミナーを開催し「自分を褒める自信を得た」と、受講満足度の高さから人気講師となる。
「9・11」が私を変えた~モチベーション・プロデューサーを目指すまで
私が大学にいた頃はバブルの絶頂期で、学生の中でも株式投資をやっている人もこけっこういました。私もその中の一人で、好奇心のまま資産運用会社に就職した理由です。具体的な仕事は投資信託のファンドマネージャーでした。投資信託により、お客様から預かった財産を商品設計に基づき、運用方針に基づいて投資するのがファンドマネージャーの役割です。入社当時は面白いと思いました。企業の業績がどうなるかとか、為替の動向とか世界情勢や株価の先を読んで、投資を行うことが楽しかったのです。
しかし慣れてくると、投資信託の商品設計はきっちり決まっていますので、ファンドマネージャーの自由裁量というのは限られていることもあって、だんだんと面白みという意味では薄れてきました。
2001年の9月、欧米の経済の動向を現地のアナリストからヒアリングする狙いで、ニューヨークとロンドンに10日間ほどの出張に行きました。ニューヨーク出張の4日目、ロンドンに渡る日に、朝、WTCのオフィスで打合せを済ませて、1時間後空港についたところ、ジェット機の激突でビルが崩壊したわけです。その瞬間は空港のテレビで見ていました。つい先ほどまでいたオフィスが一瞬のうちになくなってしまいました。そう、それが「9・11」として語り継がれる日だったのです。
その時の印象は70年前のカミカゼ特攻隊ってこんな感じだっただろうなという不思議な納得間がありました。アメリカはテロで狙われたのですが、私はそのテロに対する悪質性は感じなかったのです。確かにテロは悪い。でもアメリカには狙われてもおかしくない空気があるとも思いました。アメリカがすべて正義で、イスラムの考え方は間違っていると断じてしまうのは違うのではないか。
それからアメリカの本来の姿である資本主義って正しいものなのか、お金を追いかける意味はなに?という疑問が湧いてきました。お金を殖やすことより大切なのは心の満足なのではないかなと思うきっかけになりました。
コーチング修行~100回を超えるセミナー受講
それまで週末はほとんど寝ているだけでしたが、帰国してから、土日のほとんどを使ってコーチング・NLPなどいわゆる自己研鑽もののプログラムを片っ端から受けました。
そんな中で現在ソフトパークの副理事長をされている織田先生のプログラムとめぐり合いました。現在はAMM(アドベンチャー・フォー・メンタルマネジメント)と呼ばれているこのプログラムですが、この分野を勉強していて、これを自分でも伝えたいと思い講師養成のプログラムも受講しました。カリキュラムは理論と実践の両面で豊かであり大変充実していました。最先端の脳のしくみから始まって、無意識の重要性を思い知りました。スポーツ選手がイメージトレーニングを大切にする理由も理解しました。この織田先生との出会いをきっかけにリーダー養成講座にも参加し、今ソフトパークに関わるきっかけとなっています。
この講師養成のプログラムを受講したのは2003年のことだったのですが、すぐに講師をするのではなく、さらにいろいろな分野のセミナーを受けました。探しているとなぜだか、自分のために必要なものに出会うのですね。
印象に残ったセミナーをいくつかあげてみると、ジェームススキナーの「成功のための9ステップ」・・・火の上を歩くとか、厚い板を割るとかを実際にやってみます。自分にはできないという思い込みを崩して行きます。
静岡の西田文郎先生にはスポーツの世界での成功体験について学ばせてもらいました。ボクシングの場合、私は勝つためには「憎しみ」が必要だと思いこんでいました。リングに立つのはプロでも怖いはずなので、それを乗り越えるのは「怒り」しかないと思っていました。でも西田先生のメンタルトレーニングでは「楽しい」・・・「このチャンスを得て楽しい」「お客さんの注目を浴びるのが楽しい」と思うことで強くなるということを教えられました。楽しい状態、それを「快」を求めること、ソフトパークでは「フロー」と呼びますが、こういう「楽しい」状態を作ることの方が、「怒り・憎しみ」より強いことに納得しました。
また、数年前には「脳トレ」「右脳開発」というのが流行りました。これも疑り深い私はどんなものなのかを探るために、いったい心とはなにか、脳の仕組みってどうなっているのか、など書物をまず読んだ上で、専門家に直接聞きにいき、体験させてもらいました。その仕組みが分かると、それを使って目的に応じてアレンジしたセミナーを開催したら伝わるのではないかということが見えてきます。専門家の方は、仕組みを知っていてもそれを「伝える」ことが苦手だったりします。だから私は形を変えて、体験型セミナーという形でその仕組みを面白おかしくご紹介することで「気付き」を引き出すわけです。
結構自分は実は疑り深いタイプだと思っています。だからまず、自分で体験しないと嫌なのです。そのおかげで、これは必要ないなと思ったら捨てられるし、これは使えるなと思ったらその場で吸収できます。いいものだと思って仕入れた材料の中から絞りに絞って、毎回のセミナーには、その場の参加者にあったものを提供しています。
こういったたくさんのセミナーを受けたものが自分の中に残って、降り積もっていっています。今、私が教えている研修プログラムは、何か一つのものから教えているわけでなくて、様々なプログラムが組み合わさってできています。引き出しをたくさん作ってお客さんに合わせて出しています。ゆえに、そのとき限りのライブ感があります。
自分は関西出身ということもあって、笑いながら賢くなれるように伝えたいと考えています。相手が満足していたかどうかを知りたくて、表情が変わるかどうかを見ています。セミナーを受けている人は半信半疑で来ていると思います。そういう方々が笑顔になって、能動的に動き始めて、自主的にワークショップを楽しんでいれば成功です。
この仕事をやってよかったと思います。成果が出るのですから。受験生が志望校に受かったり、仕事がはかどったり、恋愛が成就したり、ダイエットが成功したり。今ある相撲部屋のメンタルも見ているのですが、その力士の番付が実際に上がっていくわけです。そういうことを実感できるのがうれしいです。
part2へ続く
※所属、役職などはインタビュー当時